受託業務に関するポイント
1.新規事業企画、事業戦略、開発戦略を具体化したい
市場調査、自社技術の棚卸、戦略の要件整理
「技術棚卸」の位置づけを、以下のように捉えていないでしょうか?
・新規事業創出のため、まずは自社技術の棚卸や整理を行い、それを元に何をやるかを考えるのだ。
・富士フイルムは、写真フィルムが衰退するなか、まずは自社技術の棚卸を行い、その結果に基づいて、医薬や化粧品といった新規事業のターゲットを定めた。
新たな道に踏み出すに当たり自社の強みを踏まえるのは重要ですが、「まずは自社コアコンピタンスの棚卸」ではない(なかった)と私は捉えています。
市場や社会情勢が変わっていく中、企業を継続/成長させていくために必要なイノベーション創出の考え方を協議させていただいたり、スタートを切るための支援あるいはまた開発の並走に関与させていただければ幸いです。
2.開発効率を高めたい
成功確立向上施策、加速施策、O/I向上施策
① 的確な実行計画を立案したい
的確なターゲット(上位課題、What)を設定できたら「あとは成り行き任せで始めてみよう」とは思われないでしょう。
上位課題に即し、的確な実行計画(How)の立案が重要。
・ゴールに至る道筋、ゴールに至るに必要なリソース(時間、人、金、モノ、情報)を明確にする
・上位課題に適した下位の課題設定を行う(いつまでに、誰が、何を、どうするかを明確にする)
Whatの明確化とともに、Howの立案についても支援させていただければと思います。
② ステージゲート制を導入、運用したい
皆様は、ステージゲート制を以下のように思われていないでしょうか?
・ゲートでは、開発課題設定の初期に決定したゲート通過要件ができたかどうかによってGo/NoGoを判断する。
・ゲート通過要件ができていなければ中止する。
・ゲート通過要件として投資回収が常に最重要だ。
このようにすると中長期の開発テーマは次々と消え、例えノーベル賞候補の成果が原資にあったとしても事業には結びつかず、イノベーションは起こせないでしょう。
一方、成り行き任せでノロノロと進めていたら、機会損失したり開発経費が肥大化したりするのは当然。発案者や技術者の自己満足で事業性が乏しい開発テーマが沢山あり、選択と集中を図らなければならない状況もあると思います。
ステージゲート制導入の意義や目的、形骸化しやすい例や導入に当たってのポイントなどを共有させていただいたり、制度構築や運用支援をさせていただいたりできればと思います。
③ 開発課題に即したリソース管理を行いたい
- 予算、人財の獲得/育成/活用、情報
イノベーションとは「新結合」であると言われます。付加価値や競争優位性が高い商材や事業になるほど、構成要素、結合の数、評価項目などが増大しがち。開発の進捗とともに更に多くのリソースが必要になってくることも多いでしょう。ステージゲート制では「次のステージにステップアップするにあたり、より多くのリソースをかけても良いかどうか」の判断が必要になることが多々あります。
ここで「ゲートは通過したけれど必要な予算や人財がタイムリーに得られない」のであればステージゲート制は形骸化し、開発は円滑に進められません。リソースマネジメントは、開発の効率化や加速と密接に関わってきます。開発予算の獲得や管理方法、人財の獲得方法といった「兵站」が整っていなければ、イノベーションは生まれないでしょう。
新規商品や新規事業が生みだせるような予算管理方法、人財の獲得/育成/活用方法、情報管理方法に関する仕組み構築や改善について支援させていただければと思います。
- 人財
イノベーションを生むため、新たな領域の人財獲得が必要な場合、
・転職支援会社や派遣会社が紹介してくれる人財は適切でしょうか?
・紹介された人財の採否を的確に判断することができそうでしょうか?応募者が書いた職務経歴書が本当かどうか、面接で口は上手いが実力が不十分だったり自社の要望に合わなかったりする応募者を見分けることができそうでしょうか?
・新たな領域のプロフェッショナル人財を適切に処遇する受け入れ態勢(人事制度など)ができているでしょうか?
・そもそも「必要だ」と考えている領域(経験領域、専門領域、技術領域)は妥当でしょうか?(※)
私はまず、こういった観点で人財獲得戦略を吟味する必要があると思っています。
同じ医者でも、歯が痛いのに内科にかかる人はいないでしょう。でも、目が霞むからといって眼科にかかったが、実は脳外科に行かなければならなかったといった例があることも事実。
※ また、「化学技術者必要だ」「IT技術者が必要だ」と思っていても、化学技術者、IT技術者も千差万別。
特に未経験領域に踏み込む場合、必要な人財を的確に見極めることは至難の業ではないでしょうか。
- 予算管理
開発経費は、以下のような観点も含めて適切な管理法が求められるでしょう。
・将来に向けての「投資」ではあるが、成功確率が低い開発経費は「削減対象コスト」でもある。
・税制優遇が受けられる研究開発費と他の経費との区別が必要。
・投資対効果といった整理も必要。
私はグループ企業全体の研究開発経費を管理する部門にいたり、部門の開発経費をまとめる立場にいたり、また監査役として会社の会計監査も経験しました。会計士の方とは異なる現場経験や観点を元に、効果的かつ効率的な開発経費の管理の実現に向けて、お役に立てればと思っています。
また、開発経費を効率的に管理するため、現場でもITを活用することも必要でしょう。しかし、複雑な開発経費の管理を複雑な状態のままマクロやRPAに頼ったり新たな管理システムを導入したりすると、ブラックボックス化や属人化が生じ後々のメンテナンスで苦労することが多くあります。
このようなことにならないよう、まずは開発経費に関する業務分析や管理方法の見直しが重要。このような点でも支援させていただければ幸いです。
④ 社外連携を進めたい(業務委託、協業、出資、契約締結)
開発要素が多くなると、すべて自前で行うのが困難。たとえ大企業であっても、新たな領域に踏み出す時は、社外の力を活用することが多いでしょう。
ここでは、競争優位性を担保するため何としてでも社内にリソースを確保して自社開発すべきこともあれば、外部を上手く活用する方が良いこともあるでしょう。
こういった切り分け、社外委託先や連携先の選定、後々禍根を残さない契約方法などについて、支援させていただければと思います。
⑤ 社外連携や人財獲得などのため技術広報を強化したい
富士フイルムでは、ほとんどの開発要素を自社開発していた写真フィルムなどの事業から、新たな事業へ進出するにあたり、技術広報の考え方が大きく変わりました。
ここで私が技術広報に関わった経験に基づいて、
・一般的な広報業務の委託先では得られない技術広報に対する考え方
・目的に応じた手法(展示会、HP、パンフレットなど)やKPI
・目的や手法によって異なる具体的な課題
について、私なりの捉え方をお伝えできれば光栄です。
そしてHP、展示物、パンフレットなどの作成を始める前に、お客様の状況に応じた効果的な技術広報の在り方や進め方に対する支援をさせていただければと思います。
3.化学系技術や生産技術の獲得に向けたサポートを得たい
「私の経歴」に記載した商品開発、技術開発を通じ、私は多くの市場、商品、技術を学ぶことができました。ここで学んだ知見や経験を、過去に所属していた企業の機密情報に触れない範囲でお伝えし、皆様の開発に対してお役に立てれば幸いです。
「粒子形成技術」についての例
「化学合成反応が完結したらワークアップだ。やれやれ。あとは晶析してろ過するだけ。」合成のプロフェッショナル人財には、このように考えている方が多いように感じています。
しかし、晶析時の粒子サイズや粒子サイズ分布によって、濾過速度が変わったり粉末の固結性が変わったりします。結晶系が不規則で表面が凸凹していると、溶解性速度が変わったり臭気の発生程度が違ったりもします。ペロブスカイト太陽電池では、粒界のでき方によって発電特性が変わります。
つまり、
・化学合成が完了しても、商品としては道半ばであることが多い。
・目的性能に対しては、化学構造と同様、場合によっては化学構造よりも結晶構造、表面晶癖、粒子サイズ、粒子サイズ分布の方が支配的である場合すらある。
粒子形成の基本的な考え方に基づき、対象となる物質(化学構造)や目的の性能/現状の問題に応じて、適切な粒子形成方法、結晶形成方法を検討させていただきます。
上記のような粒子形成技術以外についても、私が経験してきた商品領域や技術領域で、お役に立てそうなことが有れば、是非お声がけください。